2005年05月21日

ペナルティの設定は難しい

表題の通り。ペナルティを決めるのは、難しい。最終的には、その行為とペナルティとのバランスの話になるからだろう。0か1か、白か黒か、trueかfalseか、ではないから難しいのである。それに、良かれと思って設定したペナルティが、思わぬ副作用を生むことだってあるだろう。
ペナルティの決め方について、たまたま考えさせることが続いたのでコメントを。話題は、

  • レジ袋禁止案の話
  • 非喫煙者手当ての話
  • 受刑者処遇法の話

の3点である。

レジ袋の話

いつも購読させて頂いている47th殿の「ふぉーりん・あとにーの憂鬱」にてレジ袋禁止案が取り上げられていた(レジ袋「禁止」案の「?」)

いろいろな意味で頭を抱えてしまうのですが、何よりも悲しくなるのは「レジ袋」の削減のために「レジ袋の無料配布を法律で規制して、違反者に罰則を科してしまえ!」という、この発想です。

私が邪推するに、おそらく環境省内で「資源削減のための対策をレポートにして提出せよ」等と言ったお達しがあったんだろう。ありがちな話として「一人5個アイデアを出すのがノルマっ!」とか言われたに違いない。いや邪推ですよ、邪推。そんな邪推をしてしまうほど、安直なアイデアだと思う。
#コストダウンのためのアイデアを一人10個出せ、と言われた経験のある方はいらっしゃるだろう。そしてそれがなかなか実行に移されない、と言う経験をされた方も多いはず(笑)

その禁止案のまずさについては、先に紹介したリンクで細かく述べられている。

あるいは、レジ袋が法律で(例えば)5円となったときに、コンビニで「商品」として1枚1円のビニール袋が売られていたら、問題は解消されるのでしょうか?

何もコンビニでなくとも、レジのそばの棚(よくフィルムやタバコ、ガムなんかがおいてあるところ)でビニール袋を「商品として」置いておけば良いのでないだろうか。さらには会員様へのサービスと称して、「100円以上お買い上げのかたにはビニール袋サービス」というのはダメなのか?冗談みたいだけど、迂闊にペナルティを設定しても、抜け道を考える人間は必ず居るのだ。
同じ47th殿の「 「規制」を待ち望む人々?」

日本チェーンストア協会(佐々木孝治会長)は20日の総会で、レジ袋の削減に向けて一部有料化の法制化を要望する方針を明らかにした。

との事。多分昨今の原油高でレジ袋のコストが上がっているので、できれば消費者にコストを転嫁したいのだろう。だが、どこも自ら進んでやりたくない。袋代を徴収するスーパー、徴収しないスーパーがあると、当然客は徴収しないスーパーに流れるに決まっている。出来れば法制化で、「抜け駆け禁止」としたいのだと思う。表向きは「環境問題を考慮いたしまして」と言うことで。でも、大手スーパーはともかく、地域密着の弱小食品スーパーあたり(でも特売などで愛用してる人は多いでしょうね)が抜け道をひねり出すかもしれない。

ビジネス法務の部屋の「ガイドライン行政について」に、面白い視点が示されていた。

もし持参袋フリーなら、店舗内で袋に入っている品物はどこで買ったものかも特定できないし、レジ通過後も、万引きした品物なのか、正規で買ったのか、他店で購入したのか、その袋に入れてしまったら特定は難しいのではないでしょうか。したがって、万引きの現行犯は相当厳密に行動を監視していなければ摘発できないので、監視カメラや警備員の増員のために小売店の経費はむしろ増大するのではないかな、と予想します。コンビニなら、なおさらのことのように思います。(ちなみに、私は万引きはしませんよ。たんに、そう思っただけですから・・・)

私も駅前のコンビニはよく行く。電車の待ち時間にマンガ(ゴルゴ13がお気に入り)を立ち読みする。時間がきたらそのゴルゴ13を買わずに出て行く。でも、何も買わずに出て行くのもアレなんで、ショバ代としてお茶を一本(おーいお茶がお気に入り)を買って行く。たかがお茶一本で、レジ袋はもったいない。よく分かってくれる店員さんは、「お印でよろしいですね」とテープを貼ってくれるのみだ。新入りは律儀に袋に入れるけど(笑)
そうか、あの袋やシールは、この店で買ったよという証、いわば印鑑のようなものか、と再認識した。印鑑を奪われるとなれば、ちと問題である。
コープ(生協さん)などでは買い物袋持参運動と称して、袋を持ってくるとカードにスタンプを押してくれたりする。スタンプが溜まると、少し割引してくれる訳だけれど、持ってきた袋の場合「この店で買った証」となるかどうか。私はならない気がするけれども、店側はどう考えているのだろう?

ちなみにうちの家族では、「犬のウンチ袋が無料でなくなるのは困る」との意見が強い・・・。

非喫煙者手当ての話

いつも行きつけの所(飲み屋ではありません、あるサイトの掲示板です)で、話題になったのが以下の記事。いつ消えるか分からないので、全文引用。

非喫煙者手当、「吸ったら返金」はダメ・労基署
社員がたばこを吸わないと宣言すれば「非喫煙者手当」を支給している化粧品メーカー、ヒノキ新薬(東京都千代田区)が、宣言を守らずに喫煙した社員に手当を返還させる社内規定を設けているのは労働基準法違反の疑いがあるとして、東京労働局の中央労働基準監督署は11日までに、社内規定を改めるよう是正勧告した。

 同社は「長年社員の健康維持のため禁煙対策を進めているのに、今回の勧告は『角を矯めて牛を殺す』もので納得できない」としている。

 同社は化粧品メーカーとして肌の健康に悪影響を与える喫煙を控えるため社員の禁煙運動を展開し、1990年からは非喫煙宣言すれば「健康維持管理手当」を支給。月1万3000円を個人名義の積立金にして健康増進目的で使う際のみに引き出せる仕組みで、現在は約200人の全社員が非喫煙宣言をしている。

 ただ、社員が宣言を守らずに喫煙した場合は退職か解雇となり、積立金を全額返還するという社内規定があり、年1回の健康診断で非喫煙状況をチェックしている。

記事のタイトルは"「吸ったら返金」はダメ"だが、「吸ったら解雇」の方がより問題だろう。人間の意志は強くない。ニコレット噛んでも、ついつい吸っちゃう事は有り得るだろう。問題は、そんな出来心に対するペナルティとして、解雇は相応かと言うことだ。個人的には、不当に重すぎるペナルティと考える。
#もっともこの辺りは、その時代の感覚によっても変わる部分だろうとは、思うが。
積立金の全額返還に関しては、ひょっとしてその積立金の名義が個人名義であったことが問題視されたんだろうか?形式の上では一度手当を支払った事になっていたはずで、支払ったものを後から理由をつけて取り返すことにクレームがついたのかもしれない。非喫煙者を優遇するアイデアそのものは良い物を持っているので、制度設計を手直しして続けていけば良いのではないだろうか?

刑務所の話

桜日和「受刑者の人権って一体なによ?」経由で、SankeiWebの受刑者処遇法の記事を知った。

そもそもは、名古屋刑務所での受刑者の死傷事件が発端であった。罪を犯した人の人権に制限を加えることが刑であると思うが、いくらなんでも革手錠にリンチはまずかろう。そんな訳で、やって良い事と悪い事を、きっちり決めておくこと自体は悪い話ではない。

ところで桜日和のエントリで

・面会は最低月2回
・日曜日以外は戸外で運動する機会
・最低月4回の手紙発信
・年1回以上の定期健康診断
・7日以内の外泊や外出、外部への電話
・矯正教育や、薬物依存、暴力団離脱のプログラムなどの受講

こんなことが認められるそうだが、これじゃもうしわけないが、部活の強化合宿レベルだよあんた(笑)

とおっしゃられているが、外泊・外出は模範囚に限られているみたいなので念の為(笑)もっとも外泊理由を「危篤の母に会うため」ぐらいに制限しておくべきでは、とは思う。手紙・電話ぐらいも別にいーんじゃないっ?って思うが、ところでその手紙・電話は検閲するんでしょうかね?
薬物依存、暴力団離脱のプログラムなどについては、寧ろ今まで何でやってなかったんだと思うぐらい。
部活の合宿なら長くてせいぜい一ヶ月だが、本もマンガも自由に読めず(図書室はあるらしいが)、阪神戦も見れず、もちろんエッチな本(!)も持ち込めないムショ暮らしは想像しただけで嫌ですなぁ。それが1年でも勘弁して欲しい。
#悪いことはするもんじゃないな・・・。
受刑者処遇法が成立しても、そんなに快適な暮らしになるとは思えない。桜日和殿の懸念のように、処遇が甘くなるとは思えない。ひいては、犯罪抑止力が減ずるとは、私は考えない。変化と言えば、せいぜいリンチがなくなるぐらいではないか?

懲役とは、"らしめ"のために労を課す刑なのだが、この度矯正教育に力を入れることになった背景には、おそらく民間から刑務作業を請け負うことが少なくなったことが背景にあるかもしれない。受刑者の数は増えているのに、請け負う仕事が減っていて、仕事の確保に関係者が苦労されているようである。

個人的には、模範囚の認定はどこが行うのかが気になる。この辺り、無期懲役に処された受刑者の仮釈放は誰が決定するのか、も含めて私が知らない部分。刑の執行を担う主体(刑務所、法務省)ではなく、別の機関が判断すべきではないのか?と思う。
#無期懲役の仮釈放は、本当は裁判所が判断したら良いと、私は考えているが。

ついでに言うと、量刑の加減は処遇の内容によるのではなく、刑の期間によった方が良いと思う。処遇はどうしても、送られる刑務所、その職員によって違いが出るものだからである。その意味で、終身刑の創設は十分議論する価値があるだろう。無期懲役(事実上20年程度の刑期)と死刑の間が、大きくかけ離れている様に思うからである。ちなみに現行法において、有期懲役の場合は原則として20年以下、刑を加重する場合は30年以下である。Wikipediaの懲役を参照。
但し・・・多くの人は、大きな罪を犯したものはもっと重い罰を受けるべし、と思っているだろうし、私も基本的にそう思う。やや甘めの量刑ではないかと感じる。けれども、これは受刑者処遇法ではなく刑法において論議すべき項目である。実際には、尊属殺規定の話があって、なかなか改正が難しいと思うが。重い刑罰は犯罪抑止効果があるのか?、とか刑を長期化させるのはいいが、刑務所のキャパシティは問題ないのか?とか、議論すべき点が多そうだ。ここまでの議論になると、私の能力を超えてしまう。
#その意味で、社会科学系の学者さんの活躍の場所は多い。もっと、頑張って欲しい。



posted by やすゆき at 21:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会面 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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