2005年08月07日

帰って来い、ディスカバリー

いよいよ、スペースシャトル・ディスカバリーが大気圏再突入する。こちらに拠れば、日本時間8日夕方にケネディ宇宙センターに着陸する予定との事。
今回のミッションでは、初めて宇宙で船体補修作業が行われた。ハイテクの粋を集めたかのようなスペースシャトルだが、その修理は充填材を引っこ抜くと言う
えらくローテク
なものであったのが面白い。隙間はパテ埋めしなくて大丈夫なんですか?

ところで、今回のミッションのおいては備忘録(yamamoto氏)のこちらの記事において色々と参考になる情報が得られた。私もコメント欄で質問させていただいたりしたので、コメント欄も含めてご参照ください。

補修技術と次世代シャトル

船体調査については、こちらの記事(ディスカバリーの船体調査を支援するハイテクツール@ITmediaニュース)が割と良かったか。こちらの記事に拠れば、特別に作った拡張ブームにレーザーセンサー2台、カメラ1台を載せているとの事。多分、レーザーセンサーと言うのは、例えて言うならキーエンスとかから出ている「超深度カラー3D形状測定顕微鏡」のようなものであろう。これの動作原理は大雑把に言うと、
・対物レンズからレーザーを照射して
・レーザー光の反射が最大になるように、フォーカスをあわせて
・その結果として深さが分かる
と言うものである。この動作を一面にわたって行えば探傷が出来る。多分そう言うことだろう。
#勤務先にも、似たような装置がある。結構楽しい(笑)

先のYamamoto氏の記事(のコメント欄)において、補修作業については「ただ、微小重力環境や温度環境が厳しいことを考えると、いろいろ大変な部分があるのだと思います。」と書かれていたが、実際やってみたらうまく補修剤が出てこなかったりしたようである。今のところ、直しながら飛ぶと言うのは難しいのか。
ならば、「耐熱材を毎回交換する形にすればいい」と言うのがYamamoto氏の意見であった。多分、セミの抜け殻のように毎回「脱皮」して、また皮をかぶるイメージだろう。ちなみに、これまでの宇宙船に使われていた耐熱材は樹脂製で、熱で溶けつつ気化熱で冷却する方式だそうだ。気化熱とは、知らなかった。
既に次世代シャトルの話が出ている(有人用と輸送用と分ける)が、はたしてどんな形になるのか。現シャトルがコスト高である反省を踏まえて計画されるのであろう。Yamamoto氏の別の記事(シャトル後継機 再利用型宇宙機は断念か?@備忘録)によれば、「アポロ宇宙船のように再突入体自身は小さくし、エンジン等は使い捨てにする」との事。えっ、再突入体自体も使い捨てにするのだろうか。翼もつけないのだろうか。
仮に、「再突入体は再利用する」場合でも、今のシャトルのように耐熱タイルを使うかどうかは議論の余地があるだろう。船体には、繰り返し高温がかかる。今のスペースシャトルで、1650度にもなるそうである。「耐熱材はやっぱし樹脂(気化熱利用)の方がいい(冷えるから)」と言う結論になるかも知れない。
どうせやるなら、新シャトルには日本も協力したらいいと思う。特に、耐熱材周りは日本の化学メーカーも何かしらノウハウを持ってそうな気がする。

狂詩曲の果てに 」殿からの孫引きになるけれど、読売の記事より次世代のシャトルの概要が分かるので、ここに引用する(ソースはもう無い)

新たに判明したシャトル後継機「有人探査船(CEV)」は2段式で、上段には、先端に脱出用ロケットを搭載した軌道船と液体燃料エンジンを配置。下段にはスペースシャトルの固体燃料補助ロケット(ブースター)を活用する案が有力だ。関係者によると、「シャトルのブースターにアポロ宇宙船を取り付けた形状」になるという。
シャトル事故を教訓に安全性を高めるため、機体構造を極力単純化し、宇宙へ人を送り届ける機能だけに特化した。見かけはシャトルに比べて小ぶりだが、翼や再利用部品などを省いて単純化したことで、シャトルと同等の25トン前後の物資を打ち上げられる。
一方の物資輸送用ロケットは、現行シャトルの外部燃料タンク、固体補助ロケット、主エンジンを骨格に活用、貨物用カプセルを乗せて打ち上げる。カプセルは初期段階ではシャトルと同じ位置に背負う形で、将来は燃料タンクの上段に取り付ける形へと改良する。

ところで、またも外部燃料タンクの断熱材が剥離した。コロンビアの事故の要因となったが、今回は大丈夫のようである。当面、現行のシャトルを使うならば、何より先に外部燃料タンクの改良が先決ではないだろうか?タンクの外側に貼ってる断熱材を内側に貼る「内断熱」ってのは、だめなんだろうか?

昔から「落ちていた」

ノルウェーのあだちさんもスペースシャトルのタイルについて触れられている(スペースシャトルのタイル@安達正興のハード@コラム)。確かに、昔からポロポロ取れていた。最初にコロンビアが飛んだときも、結構タイルが落ちてたような記憶がある。それでも大丈夫だったのだ。

コロンビアの事故以来、機体表面をくまなくチェックするカメラを装備しているので、アラが見え見えになる。

ちょっと、我々の方が神経過敏になってしまってる面がある。安全率を見込んだ設計になってるので、少々の事では問題にならない(だろう)。

さて、あだちさん紹介のBBCのサイトに、大気圏再突入の説明が載っている。どうして最初に、背面飛行をして飛ぶのだろう?The shuttle flies upside down in orbit to control its heating. "と ある。to control its heatingですか。機体全体の熱の偏りを無くすため??
#英語の勉強しなきゃ・・・。

何はともあれ、今回は大丈夫、と個人的に思ってるのだが。さあ帰って来い、ディスカバリー。みんなで待ってるぜ!

-------------------------

ところで、一般市民の間で宇宙開発に対する理解が進んでいるとは思えない。例えば、スペースシャトルの考え方@サイクルロード 〜千里の自転車道も一ブログから〜等を参考にされたらよい。関係者による啓発の努力がもっと必要だと思う。
ところで、宇宙開発には「族議員」が居ないのかな?

posted by やすゆき at 14:52| Comment(6) | TrackBack(4) | 科学面 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
やすゆきさん

 Yamamotoです。参考記事として利用して頂いてありがとうございます。やはり、後継機の安全性と経済性は気になるところです。

あと後継機に関しては、こちらのBlogも参考になると思います。
http://blogs.dion.ne.jp/ambush/archives/1605249.html
Posted by Yamamoto at 2005年08月07日 23:35
yamamoto殿、おはようございます。
後継機の情報、有難うございました。で、紹介された記事を早速読みました。
現行シャトルの、液体水素タンク+固体ブースターにアポロの司令船+機械船を載せたような形が有力のようですね。
ご紹介の記事にも明記はされてませんが、やっぱし有人部分も含めて再利用しない気がしました。
Posted by やすゆき at 2005年08月08日 09:39
 多分、再突入体はアポロのとき同様、再利用されないと思います。

 再利用は、十分な耐久性と信頼性があるものであれば、行ったほうが良いですが、そうでないなら、検査・整備コストもかかるので先進国ほど再利用は難しいと思います。

 ところで、燃料タンクの内断熱の考え面白いと思いました。打ち上げ時の安全を考えるなら、それもアリだと思います。実際に行われないのは、現在の断熱材吹き付けのほうが簡単で軽量だからでしょう。内断熱にするなら、構造上2重構造にしなくてはならないので、重量がかさみペイロードが小さくなると思います。
 ただ、シャトルを改良して使用し続ける意図があるなら、タンクの再設計して内断熱にすることは検討する価値があると思います。

 しかしシャトルの退役が決定しているようですし、後継機は新規に設計するので、再突入体を先端につける設計で断熱材との衝突を回避することが考えられていると思います。
Posted by Yamamoto at 2005年08月08日 23:45
こんにちは、Yamamoto殿。予定は延びましたが、帰って来ましたね。
内断熱>
断熱材は、液体水素に直接触れては駄目なのか・・・駄目なんでしょうね(笑)
新宇宙船の再突入体に断熱材が仮に当っても、「帰還には影響なし」って話になりそうですね(大気圏突入時に使う再突入体の断熱材は、打ち上げ時には外に出ないから)。
Posted by やすゆき at 2005年08月10日 13:04
スペースシャトルはなぜ背面飛行か?
荷物の格納ハッチを空けたとき 地球がそこにあったほうが 観測等に便利だから 
ただ・・それだけであったような気がしますが。
Posted by at 2005年08月21日 12:56
名無しさん、thanksです。
Posted by やすゆき at 2005年08月23日 06:54
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