2005年09月24日

日本航空と政府系融資

総選挙フィーバーもようやく落ち着いてきた今日この頃である。さて、再スタートした小泉政権はどんな課題に取り組むのだろうか?昨日、一昨日の日経新聞を読むと、ポスト郵政として次のような政策課題が挙げられている。
(1)三位一体改革
(2)公務員人件費改革
(3)政府系金融機関改革
(4)医療制度改革
9月22日(木)付によれば、小泉首相は記者会見において「三位一体改革、公務員の総人件費に取り組む。抵抗を承知の上でやってきた。方針通り進めたい」「政府系金融機関の統廃合と民営化について、あと一年だが、しっかりとした方針を打ち出す」等と述べたと言う。そんなに一杯の懸案事項、あと1年の任期で全部こなせるんですかね?との疑念は横においておこう(笑)

高速道路、郵政とくれば、次の民営化は政府系金融機関を置いて他はない。医療制度などと違い、国民の反発も少ないだろうし、他の政策課題に比べても取り組みやすいと考えているのではないだろうか?。そのせいか、9月23日(金)付日経新聞では、竹中経財相のインタビュー記事が載っていて、政府系金融機関の融資残高を半減させる目標について期限を設ける考えを示している。

さて、いつも購読させていただいているぐっちーさんの記事において、日本航空が採り上げられている。この記事に拠れば、日本航空かなりヤバイらしい。すでにS&P、Moodysなどの格付け会社は日本航空を「投資不適格」にしてしまっている。客室乗務員などの人件費コストの圧縮も進んでいないのだそうだ(55歳の客室乗務員で何と年収1600万円を維持)。持ってる飛行機は全てリース会社に担保として取られている。

更に、この会社の資産は言うなれば飛行機だけですが、これは全て担保にされ、ファイナンスリースという仕組みでリースされています。もっと言うと主力飛行機のボーイング747、所謂ジャンボは世界中で価格が急落しており、新聞でご覧になった方も多いと思いますが、中古の飛行機が売れずにアリゾナの砂漠に100機以上放置されているくらいですので、飛行機を担保に貸しているほうも完全に不良債権化しています。飛行場も国のものですから、せいぜいJALという看板、暖簾代、としいて言うと社員が唯一の資産ということになり、お金を貸せる状態にはマッタク無い、ということがわかります。
日本航空と民営化@債券・株・為替 中年金融マン ぐっちーさんの金持ちまっしぐら

巨大機派vs中型機派

同じくぐっちーさんの別記事に、747が有り余った挙句の事象が紹介されている。モルガンスタンレーが航空機事業を売却のニュース。BRICs効果を見込んで747を買い込んだは良いが、全く売れなかったそうだ。

恐らくボーイング747、ダッシュ400などの主力航空機は現在ゼロ、ただ!!でも引き取り手が無いはずです。完全に陳腐化してしまいました。これはシロートはこんなでかい飛行機はそうそういらんだろ、と思うわけですが、何故かファイナンスのプロが見誤る訳です。でかい飛行機の方がたくさん客を乗せられるからいいじゃん、というわけですね。残念でした。
航空機業界@債券・株・為替 中年金融マン ぐっちーさんの金持ちまっしぐら

これからの旅客機は巨大機と中型機、どっちが良いか?という論争がある。エアバスは巨大機派、ボーイングが中型機派である。日本のブログでは、何となくエアバス=巨大機派が多いような気がする。気のせい?日本の国土と言うか、羽田の離発着能力がギリギリ一杯になっている様を見ると、巨大機派に傾くのだろう(期待も半分混じっているようだが)。

僕が羽田空港を毎週利用していて感じたことは、発着回数が限界にきているということだった。だとすれば回数を減らすために大型機を導入するというのもわるくないのかもしれない。なにしろA380はエコノミーだけにすると850人も運べるのだから。
A380の開発の番組をみた@Nao’s moblog page from Hokkaido
個人的には、ボーイングの中都市同士を結ぶ路線が多くなって、巨大旅客機の需要が減るという理論には、大西洋便ならともかく、それ以外では利便性とかの意味からかなり懐疑的(新千歳-デュッセルドルフ便を毎日飛ばす事にどれだけの需要があるのだろう)だし、むしろ言い訳のような気がします。そういう訳で A380はある程度は売れるとは思ってるのですが、
ディスカバリー・チャンネルのエアバスA380@ElephantLogic30

要はこの論争「でっかい飛行機ごっそり運んだ方が結局お安いでっせ」vs「お客様は神様。乗客の都合にあわせて高頻度で飛ばせてもらいまひょ」の対決なのである。だが現状を見ると・・・

実はボーイングは767を開発した時点で、恐らく747はやばい、と見抜いていて、100機にちかい生産途中の747をバーゲンにかけました。買ったのはだれでしょう?
日本航空です。ですから、大変なんです。1500億で買ったものがゼロ、とか言われたらどうします??
航空機業界@債券・株・為替 中年金融マン ぐっちーさんの金持ちまっしぐら

実際に大型機が売れてない様を見ると、エアバスA380本当に大丈夫なんだろうか?と心配になってきた。大体でかすぎて、ボーティングゲートが合わなくて滑走路上に「沖止め」(バスで横付けする)になる説もあるぐらいなのに。
話を元に戻して日本航空である。そりゃ大変だろう。もっとも日本航空の現有している747は70機ほどみたいだが(参照。下のほうの航空機数を)。 それすらも担保に取られているとの事だが。

日本航空は小泉改革のアオリを食うか

さて資産らしい資産が実は全くない日本航空。利益の上がらない日本航空。ぐっちーさんは別の記事で、将来日本の航空業界もアメリカと同じように格安エアラインが参入したり、中国が本格的に国際線に参戦してきたり等で、苦しめられるシナリオを予想されている。が私はそれとは別に、政府系金融機関の統合・廃合そして清算の過程で日本航空の問題がクローズアップされるのではないか、と思った。

小泉政権はあと一年かも知れないが、あと4年は自民党の天下。現政権の路線がある程度踏襲されると見たほうがよいだろう。近い将来、政府系金融機関の統廃合問題が政治日程に乗ってくるに違いない。その時、政策投資銀行が日本航空に貸し付けている金額が問題にされる、「回収不能債権ウン千億円」なんて見出しが躍る、そんな光景が目に見えるかのようだ。
ちなみに先に出てきた9月23日付日経新聞のインタビューによると、政府系金融機関の貸出残高をGDP比で半分にするとの事である。また、経済財政諮問会議は政府系金融の機能を
(1)発展途上国支援など政府系金融でやる必要がある
(2)大企業向けの長期融資など政府系でやる必要がない
(3)住宅金融など、必ずしも政府系金融でやる必要がないが公共性が高い
(4)リスク評価が難しく民間にはなじまない分野
の4つに分ける作業をしたという。日本航空向けの融資が(2)に該当する事は明らかである。即刻見直しの対象になるに違いない。

(おまけ)
こちらの記事経由で、JALの筆頭個人株主が糸山英太郎であることを思い出した。吠えてらっしゃるようですが(こちらこちら)大変ですね。株主になった経緯が経緯だから自業自得と言えなくも無く・・・



posted by やすゆき at 18:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済面 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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